弊社では広告運用代行も行っておりますが、2025年7月に大きな成果を上げた手法を一つご紹介します。
タイトルの通り、6.5万円の広告費で一般葬(家族葬含む)を5件獲得できました。昨今、リスティング広告の利用者が増えクリック単価が上がる=葬儀獲得単価が上昇する中で、中小企業向けに予算競争をしないための施策を模索しておりました。広告システムに標準搭載されるAIは有効である一方、一定額以上の広告予算を使い学習が必要です。この金額は年々増加しており中小企業では気軽に利用できないため、過去に全て人力で行っていたころのノウハウを使い獲得単価を下げるための施策を実施し、その結果が出たので公開させて頂く次第となりました。
キーワード選定やエリア選定、リマーケティング広告先などは広告主毎に異なるため伏せております。ただし、全体を理解頂き真似していただくだけでも葬儀獲得単価を下げ、効果を実感していただけるはずです。

この記事でわかること
- リスティング広告の獲得単価を下げるための方法
- リマーケティング広告の活用方法
- キーワード最適化の方法と重要性
結論から申しますと、需要が顕在化したロングテールキーワードに集中投下しつつリマーケティングで“指名検索”を増やし、問い合わせ後の即時対応までを KPI で一元管理したことで6.5万円で葬儀5件を獲得しました。
この説明だけで「なるほど!」となる方は記事を読み進めなくても良いかもしれません。
ピンと来ない方はぜひとも読み進めてください。読み終わる頃には6.5万円で葬儀が5件獲得出来た広告の秘訣を理解し、自社広告に活かすことで獲得単価を下げることが可能になります。
成果サマリー:広告費 6 .5万円で CPA 12,000 円を達成
まずは広告費6.5万円で葬儀5件を獲得した際のデータから見ていきましょう。
各広告の実績データ:期間・CPC・CTR・インプレッション数・クリック数
〇広告総合
- 期間:2025年7月1日~2025年7月31日
- CPC:30.5円(平均)
- CTR:3.135%(平均)
- CV数:8(問合せ)
〇Yahoo検索広告
- 期間:2025年7月1日~2025年7月31日
- CPC:44円 (総コスト:27,429円)
- CTR:5.95%
- インプレッション数:10,547
- クリック数:628

〇Yahooディスプレイ広告
- 期間:2025年7月1日~2025年7月31日
- CPC:17円
- CTR:0.32%
- インプレッション数:565,477
- クリック数:1,816

業界平均との比較:一般的な獲得単価は数万円~数十万?クリック単価が安いくても獲得単価は高くなるわけ
全国の葬儀獲得単価データが公表されていないため、あくまで外部からの推測になります。東京都心や複数の大手葬儀社・互助会がひしめくエリアでは「葬儀」「家族葬」といったキーワードのクリック単価は1,000円~、最上位になると3,000円や5,000円というケースもあります。一方で比較的安価な葬儀前キーワードになるとクリック単価は数十円から数百円程度。

上記はキーワードツールで見た際の葬儀に関する獲得単価です。黄色で色付けした部分がCPC(クリック単価)で最上位表示をした場合の金額で、システムの都合上ドル表記となります。
一部ブランド指定は除き「家族葬 〇〇(エリア)」だと50ドル(7,500円 ※1ドル=150円計算)以上になり、一番上の「家族葬 尼崎」は270.25ドル(40,537円 ※1ドル=150円計算)になります。これは獲得単価ではなく1クリックあたりの費用です。

一方で葬儀まで距離のあるキーワードを見てみましょう。右から二列目、先ほどと同じCPCの部分が3.22~3.62(483~543円 ※1ドル=150円)となり先ほどからは現実的な数字になりました。
しかし「家族葬 孫 香典」は「家族葬に参加する場合に、孫は香典を出すべきか?いくらか?」みたいな検索ニーズであり、このワードを拾っても葬儀につながる可能性は低くなります。「家族葬 初盆」も同様で「家族葬にしたら初盆はどうする?親戚呼ぶ?こちらも家族のみ?」といった検索意図で、やはり葬儀がすぐに執り行われるものではありません。
更に一般的な広告のCVRは1~3%です。30~100クリックで1件の問い合わせがあるわけで、上記に当てはめると葬儀獲得単価は以下のようになります。
- キーワード「家族葬 〇〇(エリア)」:225,000~750,000円
- キーワード「家族葬 尼崎」:1,216,110~4,053,700円
- キーワード「家族葬 孫 香典」:15,615~52,050円
- キーワード「家族葬 初盆」:15,615~52,050円
ここで注意したいのは「家族葬 〇〇(エリア)」とする場合、葬儀社を探す状況であるため一般的なCVRを当てはめることができないという事です。またサイトの信頼度や知名度、LPの出来でも変化します。ただ、CVR100%(サイトを見た人が全員もれなく問合せをし依頼する)は聞いたことがありませんし、そもそも「問い合わせ=依頼」ではないのもご存じでしょう。上記の家族葬に関するキーワードは極端な数字ですが、決して1クリック4万払っても葬儀が獲得できるわけではないのもご理解いただけたと思います。また、すぐの依頼に繋がらないキーワードでさえ問合せ獲得までは数万円かかる可能性があることも理解いただけたでしょうか。
Google広告のAIは学習に月30万円の予算で1~3カ月の期間を要す
もう一つお金がかかるお話をしますと、Google広告には優秀なAIが搭載されています。非常に優秀で、自動でコンバージョンにつながるキーワードを見つけたり、入札価格の調整をし投じた費用でコンバージョンが最大化するようにしてくれます。これは非常に優秀で、私も活用する場合があります。
が、見出しにもした通りこのAIを「自社用」にするには学習が必要です。いうならAIが「このサイトの広告はこんなタイトルで、こんな本文で、こんなキーワードに出すといいな」ってのを学ぶ期間です。この学習データを元に広告運用の調整をするのですが、その費用が月額30万円ほどの広告費、それを1~3カ月稼働させる必要があります。その間、比較的悪い数値を記録するケースもありますし、学習後に100%にはならないのでその後も調整が続きます。予算を絞ると学習効果が下がり、期間が延びたり臨んだ結果が得られなくなります。
皆さん100万円弱の広告費を「テスト」で使えますか?
弊社のクライアントさんでも大手の方や広告で効果が出るのを知っているクライアントさんは出していただけます。しかし、中小で広告費が限られていたり、効果が未知数だとリスクが大きいと感じるクライアントさんにとってこの金額は大きすぎるのです。だからこそ手作業と10年以上の運用経験をもって独自の設定をしたわけです。
長くなりましたが改めて6.5万円で葬儀5件獲得の重要さが理解していただけたでしょうか。理解いただけましたらこのまま次の章にすすんでいただければと思います。
3つの施策で獲得単価を下げつつ葬儀を獲得する
では実際に行った施策の説明となります。主に下記の3つを行いました。自社が出来ている部分は読み飛ばして頂いても構いません。それぞれ「作業」「目的」「影響」を記載しております。
要素① キーワードの最適化
作業:ビッグワードを避けロングテールの特化
まずはキーワードの最適化です。「葬儀 (エリア)」「家族葬 (エリア)」といったビッグキーワードと呼ばれるものを避けました。もう少し詳しく言うと、クリック単価1,000円以上のキーワードを避け、1日あたりの予算は1,000円を上限としました。
弊社が見てきた中で時々起きる失敗は1日や月の予算を絞ったわりに高額なキーワードに入札することで、そうそうに予算を使い果たすことです。例えば1クリック1,000円で1日予算1,000円の場合、1クリックされたら予算を使い果たします。1日1クリック、月30クリック。先の数値に当てはめると、もしかしたら1件問合せがあるかもしれませんが、ないかもしれません。100件に1件しか来ない状況だと4カ月で1件の問合せです。
これではいけないので、葬儀につながる可能性があるうちで単価の安いキーワードを探します。例えば「家族葬 ペット可」とかはツールで調べると1クリック2ドル(300円)程度。Yahooだともっと単価が下がります。しかし「ペット可」を探しているという事は家族葬をする必要があり、なおかつペット同伴であれば「そこ」と決める可能性が高まります。このように「成約につながりそうなキーワードを見つける」はAIにもできますが、狙い撃ちは人の方が得意(なはず)です。
見つけ方がわからない場合、自社の広告やホームページのアナリティクスを見て、過去に問合せにつながったキーワードを見るのも重要です。思いもよらないキーワードが見つかる場合もあります。弊社が過去に使ったものでいうと僧侶の方へのお布施の相場や連絡タイミングや、危篤を伝えらえた後の対応や死後手続きなどがありました。
目的:クリック単価が低く成約の可能性があるキーワードに予算をまわす
キーワード最適化の目的は見出しの通り、クリック単価が低く成約の可能性があるキーワードに予算を回すためです。予算がある会社は会館と看板を立て、TVCMをバンバン流し、ネット広告もどんどん出せばいいのです。そうやって認知を拡大し、いざって時に検索したら表示され「これ、知ってる」「通勤途中にあるやつだ」と安心させ問合せにつなげます。しかし広告予算が限られる場合、この戦略は取れません。あくまで限られた予算をライバルが弱い部分に集結し一点突破する、自社の魅力が120%伝わる比較をしてもらい決めてもらう…俗にいう「ランチェスター戦略」を取る必要があるため、キーワードを絞り込みクリック単価を下げ、その分限られた予算で何度も広告をだすわけです。
影響:ビッグワードに比べてクリック数が増加する
全体的な影響としては当たり前ですがクリック数が増加します。クリック単価は下がりますから、同じ予算でもビッグワードよりクリック数が増えるのです。
インターネットはいわば大きなショッピングモールです。気軽に隣の店とも比較できるからこそ、まずはお店(自社Web・LP)に来てもらいその魅力を感じてもらい、その上で他と比較し「やっぱりさっきの店(葬儀社)がいい」と選んでもらうんです。見てもらえないと存在しないのと同じです。
1日1回しか表示されないよりも、何度も表示される方が問合せを得る可能性も高まります。
要素② リマーケティング広告の活用
作業:サイト訪問者向けにリマーケティング広告を設定
お次はリマーケティング広告です。検索広告やSEOでサイトに来た方に再度自社の広告を見せます。これが今回の葬儀獲得単価を下げたキモともいえるので飛ばさずに読むと共に、しっかりと設定してください。設定は以下の通りです。
- オーディエンスリスト(配信先リスト)を作成
- プレイスメントリスト(広告掲載位置・サイト)を作成
- 除外キーワードを設定
オーディエンスリストは下記の設定をしております。ほとんど初期設定のままで、データの有効期限は90日間です。この日数はサイトの訪問した後、何日間リストに掲載するか(広告を配信するか)というものです。私は90日で設定をしておりますが、微調整をすることで更に広告費を抑えることは可能だと考えます。

プレイスメントリストはどんな媒体に広告を掲載するか?というものです。例えばYahooニュースに掲載するとか、Yahooメールの画面に出るとか。はたまたYahooディスプレイ広告の協力サイトか…ここを公開するとクライアント様の広告費が上がるので伏せさせて頂きますが、インプレッション数やサイト・サービスのユーザー層を調べた上で判断すると良いでしょう。葬儀に関する検索をし、喪主やその近しい役割を果たす人が多いサイトを選びましょう。なお、画面で見るとわかりますが私は2つのサイトのみとしております。

最後に除外キーワード設定です。除外キーワードはエリアやサイトごとに異なるので簡単な設定方針だけ記載しておきます。
- 近隣にある大手葬儀社・互助会の名前を除外対象に
- 自社で対応できない葬儀は除外。例:社葬、特定宗教の葬儀、教会や場所指定のもの…など
- 安価葬儀につながるワード。例:直葬、火葬式、葬儀 安く…など
広告の設定をする際、設定したキーワードに近しい言葉で検索されても広告を表示するようにする方が多いと思います。結果、閲覧数や問い合わせが増えるのですが対応不可な葬儀や手間ばかり増えるケールもあるので思い切ってそのワードを除外するのも一つです。
目的:①認知広告として単純接触効果をねらう、②会社名を忘れてそのまま離脱させないために
この記事のキモかもしれません。リマーケティング広告の目的は2つあります。
一つ目は認知広告と単純接触効果を狙うものです。単純接触効果とは行動経済学の一つで、接触回数が多いほど人は親近感を抱いたり「知っている」と思うというものです。TVCMや看板、何度も入るチラシなどはこの単純接触効果を期待したものです。
例えばですが「ビールといえば?」と言われると「アサヒ」「キリン」「サッポロ」とか「スーパードライ!」「エビス!」と出るのではないでしょうか。お酒を飲まない人も言えるのは、単純にビール会社の認知広告が成功しているから。
もっと身近なケースでいいますと、例えば「駅前でラーメン食べたいけどなんかない?」というと「ああ西口に〇〇屋と✖✖屋、東口には…のチェーンがあるよ」と思い出せるはずです。ただ、実際に行ったりネットで調べるともっとある…というのも認知の違い。
また人は複数の選択肢があると「知っているものを選びやすい」という特性があります。例えば会社で買い物を頼まれました。トイレットペーパーを買いに行くと金額はほぼ同じで見たことあるメーカーと知らないメーカーがあります。どちらを選びます?「私はいつも知らないメーカーだ」って方もいるでしょうけど、これも研究で「見慣れた方を選ぶ人が多い」とわかっています。
リマーケティング広告を利用し何度も会社名やサービス名、またはサイト内で使われるキャラクター(人・モデル)やロゴに触れる事でユーザーは「見たことある(知ってる)」と認知します。結果、比較サイトや別ワードで検索した際に「ああ、ここ見たことあるわ」と選択をする可能性が高くなるわけです。これが一つ目の目的です。
二つ目は広告を見た後に離脱した方に「忘れてませんか?」と案内したり、サイト訪問された方が「さっき見たの良さそうだったけど、何て名前だっけ…」と迷ってしまった際に再表示することで「ああ、このロゴだった」「このモデルさんだ」と戻ってきてもらうための道しるべ的な目的です。最近では比較サイトや仲介サイト、SNSでも検索がされるため、検索広告だけでは離脱する可能性が高まります。リマーケティング広告は選択次第で比較サイトや仲介サイト、SNSやアプリにも表示がされるため離脱率を下げることが可能です。
以上2つの目的がありリマーケティング広告を活用しております。
影響:56万回以上の表示をわずか3.1万円で実現
リマーケティング広告の影響を直接見る事は難しい部分もあります。例えばリマーケティングで20回視界に入った後、検索をされてもその数値は「検索広告からの流入1」となるのみです。
ただ、今回のケースでいえばリマーケティング広告の費用がわずか3.1万円で広告表示回数は56万回を越えました。これはYahooディスプレイ広告がクリック課金型(クリックすると費用発生)のためで、クリックなしだと費用が発生しないからです。私は「認知広告」として使っているのでクリック0でも構わないのですが…
直接的な影響はわかりにくいのですが、56万回の広告表示で3.1万円は非常に効率の良い認知広告と言えます。参考程度ですが他社の認知広告は以下のような金額です。
- Meta:0.1-0.5円/表示
- Instagram:0.5-1円/表示
- X:0.4-0.6円/表示
- LINE:0.1-1.2円/表示
- 弊社の広告:0.055円/表示
表示内容や抱えるユーザー層が異なるので簡単には比較できませんが、具体的な葬儀獲得という成果も出ている以上は「安価だけど的外れな場所に広告を出している」とは言えません。
要素③ KPI改善のためPDCAサイクル
作業:KPIを設定し、改善のためのPDCAサイクルを続ける
最期の要素、ビジネスの基礎とも言えますが難しい部分でもあるPDCAサイクルを回す、です。KPI、KGI設定が難しく、あいまいになるケースもありますが、今回はシンプルにいきました。
・KPI:問合せ件数
・KGI:依頼件数
広告予算はある程度決まっていたので、その中で「問い合わせ」を最大化するのが第一段階、その問合せから依頼となりその数を最大化するのが目的ですからKGIは依頼件数です。
KPIやKGIという設定は正直どうでも良くて、その設定した数値を改善するために何を改善すべきかがポイントです。よく数値設定だけして「KPIの達成が…」「KGIは…」とか言いますが、そうではなく「KPIを改善するには何をすべきか?」「何をしたらKPIが改善されたか?」です。
KPIでいうと先のキーワードの見直しや除外キーワード設定、配信先のリストの見直しがあります。更に広告文の見直しやリマーケティングで使う画像も重要です。これらを変更し一週間ほど数値を見て「良くなった」「悪くなった」を判断し、良くなったものだけを残していきます。結果、「問い合わせ件数」が増えるわけです。
次にKGI、ここは多くのクライアントさんが見落としている大きな穴が二つあります。1つは「質の高い問合せが来るか」、もう一つは「来た問い合わせを依頼にできているか」です。
一つ目の穴「質の高い問い合わせが来るか?」ですが、昨今見るのは広告会社の言いなりに安価なプランを掲載している葬儀社で起きている問題です。広告には数万円から葬儀ができる旨を記載し、いざ問い合わせると数十万や百万円を超えるみつもりが来るため「考えます」とお客さんが離脱します。現場も「20万で家族葬なんかできるか!」と言いますが、広告はそう勘違いする可能性もある文面だったりします。結果「成約につながるわけもない問合せ」が増えるわけです。
一つ目のキーワードにもつながりますが「葬儀 安価」「葬儀 補助金」「葬儀 10万円」など費用負担が明らかに少ないように見せるキーワードに入札し、100万円の葬儀を取るのは至難の業です。もちろんそれを得意としている業者さんもいますが、自社がそんなテクニックを持ち合わせていないなら上記のキーワードは避けるべきで、そこで余った費用を他のキーワードに割り振りましょう。これが「質の高い問合せが来るための改善」です。
二つ目の穴「来た問い合わせを依頼に出来ているか」も見落としている葬儀社が多いです。弊社で広告やSEO・MEOを管理し、他社同様の流入を確認しているものの「葬儀が取れない」と言われるケースがあります。ただ問合せ件数や電話のクリック回数を見ると他社とそん色ない…でも葬儀に繋がらないケースです。この場合、一つ目の穴もですが二つ目の穴として来た問合せをうまく受注につなげられていないケースがあります。
野球の打率でイメージしていただければ良いでしょう。同じ回数打席に立っても打率3割の選手がいる一方で2割や1割の方もいます。ホームラン(10万円の相談を100万円の葬儀で着地)は置いておきましょうか。この打率の差は会社単位はもちろん、社内のスタッフ単位でも発生しています。過去の事例だと経験の差はもちろん男女差があったり、問合せから来館・見積までは同じでも最終的な受注に会館ごとの差が出るケースもありました。
これはいうなら網で魚をすくったら網に穴が開いてるような状態。どれだけ魚がたくさんいる場所に行っても(広告を出しても)網に穴が空いてたら意味がありません。広告を外注され「もっと案件を取れ!」といいつつ、網に穴があいている上にその改善をしないため広告費が増えていくケースを何度か見ております。PDCAを回す際は「問い合わせの後」もチェックするのが重要です。
なお作業スケジュールは週1回ぐらいが良いでしょう。本当はもっと作業を行っても良いのですが、実施した施策の良しあしの判断の時間も必要なため週1回としました。正直、忙しいなら2週間に1回程度にしても良いでしょう。その分改善のスピードが下がりますが、内容の精査ができないとか考える時間が足りないまま変更するよりはよいでしょう。
目的:広告だけでなくトータルでKPI、KGIを追い求める
広告の運用というとどうしても広告ツールの中だけで対応しようとします。しかし、その広告はWebへの誘導をし、そのWebは電話やメールで人に繋がります。先ほどの網ではありませんが、どこかに穴があればその手前でどれだけすごい成果を上げても台無しになりかねません。だからこそ「トータルで考え、改善する」というし姿勢が重要です。
またSEOやMEOにも言える事ですが「一度行ったら完了(完璧)」ということはありません。自社が他社の状況を見ながら対策を練るように、他社も自社の運用状況や世の中を見ながら対応を変えます。古くはリスティング広告やSEOだけで葬儀の集客ができましたが、最近は仲介大手や互助会はTVCMなども併用しております。それでも頭打ちとなり次の施策を探しており、大手仲介が自社ホールを持つようになりました。
PDCAを回すのを「ビジネスの基礎」と書きましたが、継続的な作業は必須と言えます。PDCAを回した結果、2025年7月に良い結果が出たので今回記事としたわけですし、8月は別の施策を実施しております。広告業界はそれほど競争が激しいですが、これは葬儀に限らずどの業界もです。
影響:的はずれな問い合わせが減る事で対応の手間も減り、獲得率もアップ
今回情報を公開したクライアントさんのケースですと先に照会した穴が2つともありました。
1つ目はキーワード選定で修正し、自社対応不可の案件や安価な案件の問合せがなくなり成約率の向上はもちろん、対応する人に余計な手間をかけずに済むようになりました。
2つ目は対応する窓口の方への教育や、問合せ後に送るサンクスメールの見直しなどで獲得率を改善しました。広告予算が限られ、問合せ数も限られているからこそ確実に依頼を頂きたいものです。これも広告予算を有効活用するために重要なポイントです。
弊社では総合的に広告を管理し運用するのが強みです。特定広告の代行しかしない業者さんだと、あくまで運用する広告内での対策になり、本当の問題点が見えなかったり、簡単な対処で大きく改善することも見逃されるケースがあります。弊社では広告運用に限らずSEOやMEOでも総合的にチェックをした上でご案内や助言をさせて頂くからこそ、時にこのような結果を得られます。
以上が6.5万円で葬儀5件を獲得した際に弊社が行った作業です。もっと秘密の設定や裏技を期待された方もいるかもしれませんが、基本的な事をコツコツと行うだけです。違いでいえば最初の目標設定や戦略の時点で他社と競合しにくい、広告予算が限られる会社としての戦略を選んだということでしょう。
3つの施策で行った作業を個別でご紹介
次に3つの施策を行う中で実施した作業を紹介します。上記では触れなかった部分で、下記のような作業を行っていたという事で参考していただければと思います。
作業①:キーワード探し(キーワードツール使用)
まずはキーワード探しです。広告ツールに搭載されたツールも良いのですが、個人的には外部のキーワードツールを使用しています。高性能で使いやすく、安価なののは下記のラッコツールです。広告に搭載されるツールをお勧めしない理由として、広告に繋がらないキーワードを毛嫌いする傾向にあるからで、どしても「クリックされる(課金される)キーワードを押してくる」感があるからです。

無料でも使えますが、個人的には1か月単位で契約できるのでエントリー(月額660円)ぐらい契約しても良いと考えます。無料で試して、使い方に慣れたら1か月だけ有料契約とかでも良いでしょう。尚、弊社ではラッコキーワード以外にも使用しており、広告の管理をお任せいただいた際は各種ツールをフル活用しております。
キーワードの探し方を上記ラッコキーワードでお伝えすると「サイト調査(競合調査)」という機能を使用します。この機能は競合サイトのURLを入力するだけで下記のように競合サイトがどんなキーワードでユーザー獲得しているかが出ます。またSEO用のツールのためSEO難易度や先ほどみたクリック広告で上位表示するための単価も出てきます。

上記は大手仲介サイトを入れた最初の画面です。このままお上位から使うのではなく「競合性が低い」「CPCが高い」キーワードを抽出し、その中で自社が活用できるものに広告を出します。仲介サイトよりも地元企業の方が穴キーワードが見つかるケースもありますし、葬儀社以外を入力すると見つかるケースもあります。
このようなキーワード抽出機能は広告ツールに搭載されていないのでラッコキーワードを使います。他にもキーワードツールはありますから、同じような基準でキーワードを探せる場合はそちらを利用しても構いません。目的としては「競合性が低く、CPCが高いキーワードを探す」です。
作業②:キーワード探し(自社サイト、アナリティクス・サーチコンソールより)
作業二つ目もキーワード探しです。先ほどは外部サイトが葬儀やアクセスを獲得したキーワードでしたが、今度は自社サイトです。Googleアナリティクスを参考にコンバージョン(問合せ)を獲得したキーワードを抽出し、そこに広告を出します。
「SEOで獲得できているから広告は不要では?」と思う方もいるでしょう。SEO対策が完全で自社サイトが常に1位表示ならそれでも構いませんが5位以下や2ページ目表示なら広告で1ページ目の上位表示にすることでさらなる依頼増が期待できます。ましてやリマーケティング広告も実施しますので単純にアクセスが欲しいのもあります。
過去にコンバージョンを獲得したページは「見たい人がいいなと思ったページ」でもあり、同じ感情を抱く人がいる可能性も高いですから、広告でアクセスを増やすことでそうそうに結果を得られやすくなります。
余談です。
弊社が全力でSEOを行う際は経由したページや広告を見えるかします。「検索 → ページ閲覧 → 問合せ」もありますが「検索 → ページ閲覧 → ページ閲覧 → 問合せ」や「広告閲覧 → 検索 → ページ閲覧 → 問合せ」や「検索 → ページ閲覧 → 広告閲覧 → 問合せ」もあります。今回のリマーケティングは最後のケースを誘発するものでもあります。
ページによっては「問い合わせに直結しないけど、問合せしてきた人が接する回数が多い」というケースもあり、専用のツールで見る事で「広告をサポートする記事」「成約前に一回は触れる記事」「記事見たあとに広告から問合せに至りやすい」などが見えてきます。
異業種ではごくごく当たり前に行われる広告分析ですが、葬儀業界ではまだまだ実施されるケースも少ないので、今のうちに対策されるのも良いでしょう。なお別業過ではここにSNSのフォローや閲覧、アクションだったりメルマガ購読や開封率、開封した時の内容をチェックするといったツールも含まれております。
作業③:キーワード削除
キーワードを追加することもあれば、削除もします。個人的には3カ月以上、アクセス300件以上あり成約しないキーワードは検討に入ります。ただ先の余談にも記載した通り、問合せは獲得できなくても他の記事からの問合せをサポートするケースもあるので「要件等」というものです。
要検討となったらそのキーワードで検索し、表示されたサイトがどのような内容を記載されているかチェックします。ざっくりですが上位5サイトから10サイトでしょうか。そうすることで検索をされた方の意図が見えてきますので、自社のコンテンツやページと検索で見えた意図がずれていた際はキーワードを削除します。
注意したいのは削除したキーワードは記録しておくことと、削除後に他のキーワードに影響していなかチェックすることです。
作業④:定期的なデータ収集(週1以上推奨)
ほぼ触れませんでしたが定期的なデータ収集は重要です。個人的には週1回、決められた日に広告の費用や表示回数、クリック数をチェックします。全体はもちろんキーワード単位でも行い、レポートをダウンロードしたり自前のシートにデータを書き写します。
更に作業①~③やその他の施策の成果をチェックします。キーワードを追加して問い合わせが増えたらいいですし、逆に問い合わせが減ったら問題です。広告予算の消費が早い場合、追加したワードが使いすぎていないかチェックします。もし追加したワードで予算の大半を使う際は入札単価を調整し、予算を使い果たさないようにします。
また先にも記載したように広告以外の数値も重要です。Web問合せを貰った後の成約率とか、細分化し「問い合わせから実際の商談までの誘導率」「見積からの成約率」を数値化したり、数値改善の対策を練るのも重要です。参考程度ですが一般的な数値を記載しておきます。
- CTR(広告のクリック率) 3%:数値が未達なら広告文の見直し
- CVR(問合せ率) 2%:数値が未達ならLPの見直し。(LPの内容はもちろん、ページ変更も)
- 受注率 自社次第:これは自社の現在の数値を参考に。高い会社だと70%ほどになります
作業⑤:キーワードの入札単価調整
作業④で少し触れましたが、リスティング広告で設定したキーワードの入札単価の見直しをします。検索ボリュームが多かったり、入札単価が高く予算の大半を使ってしまう場合は問題です。その結果、問合せが獲得できたキーワードの表示が減ると、そのまま問合せ件数減にもつながるので重要な作業と言えます。
作業⑥:Webのアクセス解析(アナリティクス・サーチコンソールデータのチェック)
広告以外の話になってきますが、Webのアクセス解析も重要です。作業②の余談でも触れましたが、広告を経由してサイトを訪問した方が、サイト内で複数記事を見て問合せをするのはごくごく一般的な動きです。
Webのアクセス解析をすることでどんなページが人気かとか、どんなキーワードで自社サイトに来た人がいるかなどもわかります。作業②もこのWebのアクセス解析の一環ともいえますが、片方やればOKではなく別々の目的をもって行うため別作業として記載しました。
弊社では特に滞在時間が長い記事に注目しています。ノウハウ系記事で滞在時間が長いのは、サイトを見る人が読み込みたくなる文章であると言えます。そこには閲覧する人の不便や、自社が他社よりも優れた情報を提供しているヒントが隠されているので、滞在時間が長い記事が重要であると言えます。
以上が3つの施策に出てこなかった作業です。ほとんどは基本的な作業です。
改めてですが「裏技」も「秘密の方法」もなく、あくまで基本的な作業を高いレベルでコツコツ繰り返すのが重要です。小さな積み重ねの先に、大きな差が生まれています。
FAQ:葬儀リスティング広告のよくある質問
- 本当に広告費6.5万円で成果が出せるのか?
弊社では成果が出ております。エリアや時期の影響もありますが、比較的葬儀件数が減る時期でも一定の問合せを確保できました。またエリアについても大都市と地方都市で実績があります。
- Google広告でも同じことができるのか?
クリック単価の差、配信ネットワーク(ディスプレイ広告の掲載先)からYahooをお勧めします。Googleは即効性が高い一方、クリック単価がYahooに比べ高くなる傾向があります。
- モバイルとPC、どちらを優先して入札すべきか?
今回は優先設定をしておりません。
- ディスプレイ広告の表示回数に上限を設定すべきか?
今回は設定をしておりませんが、設定をする場合は週あたり5~10回が良いと考えます。一般的な認知広告の話ですが5~7回で認知すると言われ、7~10回を超えると「多い」と感じるようです。所説ありますがおおむね近しい数字が出るため1週間あたり5~10回としました。
- 安さアピールをしたほうが件数が獲得できるのではないか?
確かに安さアピールをした方が獲得件数や問い合わせ件数は増えことが考えられます。一方でそれらに応じて広告のクリック数が増える事も予想され、結果的に広告費も上がります。葬儀単価が落ちて広告費が上がると当記事の「獲得単価を下げる」の実現が困難になるのと、安さを求められた方に高価な物・サービスを売るのが一般的には困難であるため今回は除外をしました。
- リスティング広告の代わりにSNS広告を活用しても良いか?
弊社ではデータがないため、今回記載の成果を得られるかは不明です。SNS広告も狙ったターゲットに広告を届ける事が可能なので相性が良いかもしれませんが、記事中で記載したように表示回数で広告費が発生する場合リマーケティング広告に必要な「サイト訪問」が発生しない可能性があります。今回の施策はリマケーティング広告がキモでもあるため、広告費が高くなる可能性があります。
- SEOで一定数のアクセスがあるので、リスティング広告をせずリマーケティング広告だけでもよいか?
問題ないのではないかと考えます。今回の運用サイトもリスティング広告以外にSEO・MEOによるアクセスがあります。ただしリスティング広告からのアクセスが最多となる状態でSEO・MEOからのサクセスはごくわずかとなりますので、SEOでのサクセスが多いのであれば同様の成果が得られる可能性があります。
アクセス解析が可能であれば記事中にもある通り「問い合わせした人がよく見たページ」にリマーケティング用タグを設置し、そのページを見た人のみリマーケティング広告をかけるのも一つです。そうすることで広告費を抑えつつ問合せを得られる可能性があります。
まとめ:弊社モデルを再現し、低予算でも確実に成果を上げる
最後に改めて3つの施策を見直しましょう。
- キーワードの最適化
- リマーケティング広告の活用
- KPI改善のためPDCAサイクル
更に3つの施策に入らなったかものが以下6つです。
- キーワード探し(キーワードツール使用)
- キーワード探し(自社サイト)
- キーワード削除
- 定期的なデータ収集
- キーワードの入札単価調整
- Webのアクセス解析
すべてを実施することで6.5万円で葬儀5件を獲得した効果が得られますが、まずは出来るものから実施していきましょう。新たな広告が不安であればまずはキーワードの最適化から、そしてその行動をデータとして記録し、PDCAサイクルを回していきます。
やってはいけないのは「作業したけど結果を見ない」です。適当に作業をするとむしろ獲得単価を上げる可能性がありますし、間違った方向に突き進むこともあります。必ず作業をするなら作業記録を残し、KPIやKGI、数値で結果を判断するようにしてください。
最後になりますが「こんな面倒な事できるか!」って思ったなら弊社で代行も行っておりますし、広告代理店にお問合せください。
広告代理店というと単なる中抜きをするだけに思われるケースや、最近であればAI任せで大手も老舗も個人事業主も変わらないなんて言う方もいらっしゃいます。実際にそのような業者や個人事業主もおりますが、逆に過去の経験やノウハウをフル活用して目には見えにくい面倒な作業をすることでAIにも出来ないような結果をだす会社もあります。
これは弊社に限らず、AI任せの広告運用が始まる前からあれこれ考え、試してきた広告代理店に言える事です。
是非、理想の広告代理店を見つけていただきたいと思いますし、見つからない際は弊社にお問合せを頂ければと存じます。
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