葬儀業界におけるAIライティングの現状とAIの使い方

ChatGPTの公開から次々と話題が提供されるAI。一部ではAIを導入し効率化を実現したり、大幅な工数・人件費削減といったニュースも流れています。その中でもとりわけ影響が大きいと言われるSEOを意識したライティング(記事の作成)について、我々葬儀業界でも使えるのか?という話をしたいと思います。

本記事では、AIが葬儀業界のライティングに活用できるのかという話からど、のような問題があるか、またどのようにAIを効果的に活用するかを説明します。読み終わる頃にはAIの弱点を理解し、AIに負けない記事を書けるのはもちろん、AI活用していただけるようになります。。

結論:AIに葬儀業界のライティングは任せられない

まずは結論から。AI技術の進化により、様々な業界でAIの活躍が話題になっていますが、葬儀業界においてはライティングを完全にAIに任せることは現実的ではありません。理由としては下記に詳細を記載しておりますが、葬儀業界特有の専門知識や感情的な配慮が求められるためAIによるライティングには限界があります。

一方で、AIによるライティングがライターの職を奪っている、またはAIライティングを活用して一人で多大な収入を得ているという事例も聞こえてきます。これには理由があり、AIでのライティングが効果を発揮する業界は情報が開示されていたり、初心者向けの需要が高いマーケットと言えます。
例えばプログラミング。ご存じの方もいるかもしれませんがプログラミングは「言語」と言われるようにルールがあり、そのルールに従い記載することでアプリが動いたり、ソフトが稼働するようになっています。ですからAIはルールを理解した上でプログラムを書くだけです。結果、プログラミングの知識がない方がAIのサポートを受けながらスマホで動くアプリを開発できるわけです。
他にも初心者向けのサービス説明や深掘りは様々な場所に情報があります。昨今の話題でいえば投資のNISAがありますが、これは明確にルールが決められています。投資できる商品も決まっており、その投資に関しても数値で状況が比較可能です。AIはこれらのデータを参考に「初心者がNISAを活用するなら」と記事を作成します。法律を元にNISAの仕組みを説明し、更に相場データや公開されたアンケート等から「初心者にお勧めする銘柄」を出せるわけです。

このようにAIが得意なのは情報が公開され、なおかつ明確にルールや基準があるものです。葬儀の場合、宗教や宗派はもちろん地域ごとの差もあります。このような場合、AIが作成する記事は安定せずまた条件を網羅していません。記事で詳細をいれておりますので説明はそちらを参照頂き、こういった問題からAIにライティングをすべて任せることは困難というのが私の意見です。

最初に結論が出ましたが、なぜそう感じるか?や、そうはいってもAIをうまく使う方法があるのか、また他社が使っている場合の対処法をまとめましたのでご覧ください。

AIにライティングを任せられないと感じるポイント

専門的なことは苦手

葬儀業界は非常に専門性が高く、宗教的な儀式や地域特有の風習など、細かな知識が求められます。AIは大量のデータを基に文章を生成しますが、このデータは主にインターネット上の一般的な情報に限られています。そのため、深い専門知識を必要とする内容に対しては、AIの能力には限界があります。例えば、仏教やキリスト教、神道など、それぞれの宗教によって葬儀の進行や必要な準備が異なります。これらの詳細な手順や意味合いをAIが正確に把握し、適切に表現するのは難しいでしょう。また、単純な宗教だけでなく宗派の違いもあります。この詳細を正しく理解しているAIは今のところありません。

教師データ(ネットや公開データ)にない情報は苦手

AIが学習するデータは先にも述べました通り主にインターネット上の公開情報です。しかし、葬儀業界ではネット上に出回らないような深い知識や経験が重要となります。例えば、葬儀を行う際に「地域の方を呼ぶか」という問題。弊社でも様々なエリア・葬儀社様のお話を伺いますが、十人十色と言えるほど異なります。都市部では地域との関係が薄くなり連絡さえ入れないケースもありますし、いまだに地域によっては町内会の方が皆でサポートされるケースもあります。これらの差は都道府県や市区町村だけでなく集落単位でもあります。こういったネット上で得られない情報については、AIが適切なライティングを行うことは困難ですし、時に大きく間違えた記事を作成するケースがみられます。

地域ごとのルールも理解できない

葬儀業界では地域ごとの風習やルールが存在します。AIはこれらのローカルルールを理解し、適切に反映させることが難しいです。例えば、同じ宗教でも地域によって葬儀の進め方が異なる場合、AIはその違いを正確に捉えられないため、誤った情報を提供する可能性があります。代表的なものでいえば骨葬です。AIにライティングを依頼した場合、基本的には骨葬の話を除外します。もちろんAIへのライティング指示の時点で細かく指示すれば問題なく記載されることもありますが、その内容はやはり「ネットにあった情報の総合」であり、記事作成を指示した方のエリアを考慮したものではありません。さらに、地域ごとに異なる葬儀場の運営方法や、地域独自の儀式に関する情報もAIはカバーしきれません。

検索されるような深い情報はさらに質が下がる

AIが生成する文章は表面的な情報にとどまりがちです。検索エンジンで上位表示されるような深い情報を提供するためには、より専門的で詳細な知識が必要ですが、AIはこの点で人間のライターには及びません。結果として、AIの生成するコンテンツは薄っぺらく、読者の期待に応えられないことが多いです。例えば、葬儀に関する法律や保険、遺族へのサポート制度など、詳細な情報が求められる内容については、AIの文章は信頼性や深みを欠くことがあります。

表記が安定しない

AIは一貫した表記を保つことが難しいです。特に葬儀業界のように専門用語が多い分野では、表記の揺れが発生しやすく、読者にとって分かりにくい文章になってしまいます。人間のライターであれば、文体や表記を統一し、読みやすい文章を作成することが可能ですが、AIにはそのような柔軟性がありません。例えば、「葬儀」「葬式」「告別式」など、同じ意味を持つ異なる用語が混在して使われると、読者は混乱してしまいます。過去の事例として、弊社でキリスト教葬儀のライティングをした際、文章の初めで「キリスト教では『お悔やみ』はしない」と明言しつつ、後半では「『お悔やみ』を伝えましょう」と記載したケースや、香典についても「キリスト教は香典と呼ばない」としつつ記事後半では「香典は会場に入った際、受付で渡しましょう」という矛盾した記事を作成してしまいました。このように、AIによるライティングはまだまだ「完全自動化」には至っていません。日進月歩で進化を続けるAI技術ですが、現段階では「AIにライティングは任せられない」という判断になります。

AIには得意な仕事をお願いし分業にする

では、AIは葬儀業界のライティングに全く使えないのでしょうか?そうではありません。私共はライティングにAIを活用しており、この記事もAIの力を借りて書いています。次に、どのように使っているかをお話しします。

AIに校閲を依頼し誤字脱字、文体を整える

AIは与えられた文章を読み込み理解し、校閲を通じて誤字脱字や文体の不一致を修正することが得意です。身近な例として、マイクロソフトOfficeのWordやGmailのメール作成画面で波線などが表示され、注意書きが出たことがあるでしょうか?これは文章校閲機能の一つで、前後の文章や文言を理解し異常があるとアラートを出すものです。何度見直しても誤字脱字を見落とすケースや、予測変換に頼って漢字を間違えた経験は一度はあるのではないでしょうか。AIの強みは「疲れ」がないことです。文字を10文字読む際も100万文字読む際も同じ集中力を維持しています。人がミスをしやすい状況を、ミスをしないAIに依頼するのが良いでしょう。

「見出しの整理」は得意

AIは見出しの作成に関して比較的得意です。見出しは文章全体の構成を整理し、読者が内容を理解しやすくするために重要です。AIを活用して適切な見出しを生成し、それに基づいて人間が詳細な内容を執筆することで、効率的な文章作成が可能となります。見出しが適切であれば、読者は記事全体の構成を把握しやすくなり、興味を持って読み進めることができます。

データ整理や画像生成なども今後活用できるかも

他にもデータ整理や画像生成はAIの得意分野です。バラバラに表記されたデータを読み込み表形式で出力させたり、グループ分けしたり、一歩進んで傾向を読み取ることも可能です。画像生成については、日々ニュースなどでも目にするでしょう。その出来栄えの良さからフェイク画像やフェイクニュース(動画)まで生成されるほどですが、これが正しく使われると非常に強力なツールになります。

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葬儀業界にてAIを活用して時短する方法

AIの強みを理解した上で、具体的にどう葬儀業界で使うかについてお話しします。あくまで弊社で行っていることの一例ですので、これ以外にも活用方法は多数あります。うまくAIを活用し、作業の効率化を進めていただければ幸いです。

SEO用に関連キーワード探しやターゲットのペルソナ設定をする

AIを活用することで、効率的にキーワードを選出し、ターゲット層を明確にすることができます。例えばキーワードをAIに伝え関連するキーワードを出してもらったり、記事の方向性を説明し関連キーワードで見落としているものを教えてもらったりもできます。また、ぼんやりとしたターゲット(40-50代の喪主になりそうな人)をAIとの会話の中で深掘りし、明確なペルソナに仕上げることも可能です。それを基にコンテンツを作成することで、検索エンジンでの上位表示を目指すことができます。AIは莫大なデータを解析し、検索ボリュームや競合状況を踏まえた最適なキーワードを提案してくれます。

AIに見出しを作ってもらい、自分で修正(その逆も可)

前述の通り、AIは見出し作成に優れています。AIに見出しを生成させ、その後人間が内容を修正・補完することで、効率的かつ効果的なコンテンツ作成が可能です。これにより、時間を節約しつつ質の高いコンテンツを提供できます。見出しが適切であれば、文章全体の構成も自然に整いやすくなります。

AIによる文章の校閲

AIを校閲ツールとして活用することで、誤字脱字や文法の誤りを自動で検出・修正することが可能です。これにより、人間のライターが見落としがちな細部までチェックでき、品質の高い文章を提供できます。AIの校閲機能は、一般的な文法チェックだけでなく、スタイルやトーンの一致もサポートしてくれます。

挿入画像の作成

画像生成AIを利用して画像を生成することが可能です。GoogleはSEOの上位表示条件としてオリジナリティを重視しています。内容の要ともいえる文章はもちろん、挿入される画像も素材サイトで購入したものより自前で準備されたものが良いとされます。どうしても画像の準備が難しい場合、生成AIで作った画像を活用することが重要です。もちろんAIが生成した画像に関しても「自分で作成した画像」には劣りますが、記事の見やすさやサイト自体の個性が際立つという意味でも活用すべきです。また、多くのサイトが導入するフリー素材や安価な素材よりも生成AIでつくられたオリジナルの画像が良いでしょう。

他にも時短の方法はあります。例えば、私の場合、文章作成は音声入力を活用します。移動の際などに話し、文字にしておきます。一小節ごとに作成し、それを構成に合わせて並べ替え、AIに読み込ませて無駄な部分を削ぎ落とします。こうすることで、キーボードに向かって何千、何万という文字を打ち込む手間を省けますし、ふと思いついた良い話やアイディアも忘れることが減りました。今回は「SEOライティング」の話をしておりますが、会社の資料やカタログでも同じことができるので、ぜひ一度試してみてください。

まだまだAIに勝てる葬儀経験者の知識や経験

次に私共が考える対AI戦略をまとめていきます。協力しろと言ったり勝てると言ったり安定しないところはAIっぽいかもしれませんが…人が執筆していますのでご了承ください。

対大手ポータルは「ローカルネタ」で勝負

大手ポータルサイトは元々多くの情報を提供しています。古くは学生のアルバイトに書かせたり外部ライターを使ったり、最近ではAIによるライティングも増えていると聞きます。では、そういうサイトよりも上位表示を目指すにはどうすればよいでしょうか?地元密着型のサービスを提供する中小葬儀社は、地域特有の情報を提供することで差別化を図ることができます。例えば、地域ごとの葬儀の風習や歴史的背景など、ローカルな視点から情報を発信しますが、キーワードで見ても「〇〇町」まで対応した大手ポータルは見たことがありません。会館情報や火葬場を羅列し上位表示されていますが、その火葬場はどの町の人が使うのか?費用は?予約は?中の写真は?といった「地元企業なら常識」という事をしっかりと伝えることが重要です。大手ポータルの弱点は本部が都市部にあり、どうしても地域ごとの情報に疎いことです。極端な話ですが本社が東京や大阪にあっても、市区町村単位の情報には疎いとも言えます。葬儀ではその細かな情報が重要です。先にも記載した通り、地域ごとのルールやマナーもあります。大手ポータルにはこれらの情報が抜けておりますので、この情報を記載しつつキーワードを意識することが重要です。

単純なAIライティングなら「一歩踏み込んだ情報」の提供で差別化

AIは一般的な情報を提供することは得意ですが、深掘りした情報には限界があります。これも先に記載しました。インターネットにはない知識と経験に基づいた情報やAIとの差別化を図ることができます。例えば、特定の宗教儀式の詳細や、実際に葬儀を行った際の経験談など、具体的な事例を交えて深い情報を発信することで、読者の信頼を得ることができます。ここに地域特有の情報があれば更に信頼度が増すことでしょう。

GoogleはSEO、MEO共に「ローカル」「権威性」を重視する

GoogleはSEOおよびMEO(マップエンジン最適化)において、ローカル性と権威性を重要視しています。地元密着型の葬儀社は、ローカルな情報を提供することでSEOに強くなるだけでなく、権威性を発揮することで信頼性を高めることができます。何度も出てきていますが、地域に特化した情報発信は検索エンジンを提供するGoogleさえも推奨していると言える状況です。また、Googleはユーザーの検索意図に応えるコンテンツを評価する傾向があり、葬儀業界に関する具体的な質問や悩みに対して的確な回答を提供することで、SEOの効果を高めることができます。例えば、「地域ごとの葬儀費用の違い」や「特定の宗教儀式における準備方法」といった具体的なトピックを取り上げることで、ユーザーの関心を引き、信頼性の高い情報源として認識されることができます。

AIにはまだ勝てる…が、戦わず活用を

改めまして競合他社がAIを活用してライティングをしてきたらどうするか…という話から、やはり自分たちもうまく活用しようという話に戻ります。AI技術は進化を続けていますが、葬儀業界のような専門性が高く感情的な配慮が求められる分野では、まだまだ人間の知識や経験に勝るものはありません。しかし、AIを適切に活用することで、効率的にコンテンツを作成し、時間を節約することが可能です。AIを補助的なツールとして活用し、人間のライティングと組み合わせることで、質の高いコンテンツを提供することができます。

また、今回はAIによるライティングを中心にしましたが、例えば各葬儀社さんでSNSを開設し、自ら出演して画像や動画を提供することで、ご覧になられた方は安心し信頼し、身近に感じて頂けます。記事の中に動画を入れることも可能です。これはAIにはできませんし、現状では大手ポータルサイトもできていません。

最終的には、AIと人間の協力によって、葬儀業界におけるライティングの質を向上させることができるでしょう。AIの強みを活かしつつ、人間の知識や経験を加えることで、より信頼性の高い、価値のあるコンテンツを提供することができます。このようにして、葬儀業界の特性に適したライティングを実現し、読者にとって有益な情報を発信することが重要です。

以上、葬儀業界におけるAIによるライティングの現状と、その活用方法について解説しました。より具体的な活用方法や自社に合わせた使い方などについては個別にお問い合わせ頂ければ、お話させて頂きます。

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